2×2行列の疑似逆行列

2×2行列の逆行列は、一般に

\(A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}\) のとき

\(A^{-1} = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}\)

になることが知られている。

しかし逆行列は正則な行列であるという前提条件がある。

擬似逆行列は逆行列の概念が一般化されたものと捉えることができる。では2×2の擬似逆行列はどうなるのかを確かめるべく計算を行った。(ここでは行列の成分は全て実数であると仮定する)

計算結果

2×2の行列\(A\)に対し、\(A\)の随伴行列を\(A^{*}\)とする

\(A = \begin{bmatrix} a & b \\ c & d \end{bmatrix}\)

\(A^{*} = \begin{bmatrix} a & c \\ b & d \end{bmatrix}\)

このとき

\(A^{*}A = \begin{bmatrix} a^2+c^2 & ab+cd \\ ab+cd & b^2+d^2 \end{bmatrix}\)

これの逆行列は、冒頭で書いた逆行列の公式を利用すると

\((A^{*}A)^{-1} = \frac{1}{(ad-bc)^2}\begin{bmatrix} b^2+d^2 & -(ab+cd) \\ -(ab+cd )& a^2+c^2 \end{bmatrix}\)

よって左逆元\(A^{+}\)は以下のようになる

\(A^{+} = (A^{*}A)^{-1}A^{*} = \frac{1}{(ad-bc)^2}\begin{bmatrix} d(a-bc) & b(c-ad) \\ c(b-ad) & a(d-bc) \end{bmatrix}\)

実際に\(A^{+}A\)を計算すると

\(A^{+}A = \frac{1}{(ad-bc)^2}\begin{bmatrix} (ad-bc)^2 & 0 \\ 0 & (ad-bc)^2 \end{bmatrix} \)

となり逆行列として機能していることが分かる。

ここで求めた単位行列は冒頭で紹介した逆行列の二乗の形で出てきていることが分かる。これは\(A\)と\(A\)の随伴行列を3回 (最後の計算も足すと4回)掛けているため、通常より2倍の量の積算を行っていることから何となく納得できる。

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